老猫が痩せてきた、背骨がゴツゴツする。考えられる原因と受診の目安

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老猫が痩せてきたら、見すごさないでください
だっこしたときに、以前より軽くなった気がする。背中をなでると、背骨がゴツゴツと触れるようになった。シニアの猫を飼っていると、こうした変化に気づくことがあります。
年をとれば少しずつ痩せていくのは自然なこと、と思われがちですが、老猫の体重減少は、じつは病気のサインであることが少なくありません。とくに、食べているのに痩せていく場合は、体のなかで何かが起きている可能性があります。この記事では、老猫が痩せる原因と、家で気をつけたいこと、動物病院を受診する目安をお伝えします。大切なのは、変化に早く気づいてあげることです。
背骨がゴツゴツ触れるのは、どういう状態でしょうか
背中をなでたときに背骨がゴツゴツと触れるのは、背骨のまわりの筋肉や脂肪が減っている状態です。健康なときは、筋肉や脂肪におおわれて、背骨はそれほど目立ちません。
それが目立って触れるようになったということは、体の栄養が足りていないか、筋肉が落ちてきているサインです。見た目には分かりにくくても、なでたときの感触で気づけることがあります。ふだんから体をさわっておくと、こうした小さな変化に早く気づけます。
老猫が痩せる、おもな原因
老猫が痩せる背景には、加齢による自然な変化のほか、シニアの猫に多い病気が隠れていることがあります。おもなものを、次にまとめました。とくに、食欲があるのに痩せる場合は、病気の可能性を考える必要があります。
| 原因 | 特徴 |
|---|---|
| 甲状腺機能亢進症 | よく食べるのに痩せる、活発になる、シニア猫に多い |
| 慢性腎臓病 | 水をよく飲む、おしっこが増える、シニア猫にとても多い |
| 糖尿病 | よく食べ、よく飲むのに痩せていく |
| 歯や口の病気 | 痛くて食べられず、食が細くなる |
| 加齢による変化 | 消化吸収の力が落ち、筋肉が減っていく |
食べているのに痩せる場合
とくに注意したいのが、しっかり食べているのに痩せていく、という状態です。これは、シニアの猫に多い甲状腺機能亢進症や、糖尿病のサインであることがあります。
甲状腺機能亢進症では、食欲が増して活発になるのに、体重が減っていくのが特徴です。よく食べているから大丈夫、と安心せず、体重が減っているなら、早めに動物病院で検査を受けてください。血液検査で分かることが多く、早く見つかれば、治療で元気を取り戻せることもあります。
水をよく飲むようになった場合
痩せてきたことにあわせて、水を飲む量が増えた、おしっこの量や回数が増えた、という変化があるときは、慢性腎臓病や糖尿病の可能性があります。
慢性腎臓病は、シニアの猫にとてもよく見られる病気です。ゆっくり進行するため、気づいたときには進んでいることもあります。飲水量やおしっこの変化は、こうした病気を知らせる大切なサインです。気づいたら、早めに受診してください。
まず、動物病院で検査を受けましょう
老猫が痩せてきたときにいちばん大切なのは、加齢のせいと決めつけず、動物病院で原因を調べてもらうことです。猫は不調を隠すのが得意な動物で、痩せがはっきり分かるころには、病気が進んでいることも少なくありません。血液検査や尿検査で、甲状腺や腎臓、血糖の状態を調べられます。
原因が分かれば、それに合った治療や食事で、進行をゆるやかにしたり、体重を保ったりできることがあります。痩せは、体からの大切なメッセージです。様子を見すぎず、早めに専門家に相談してください。
家で気をつけたいこと
受診とあわせて、家でも次のことに気を配ってあげましょう。日々の観察が、早期発見と、その子の負担を減らすことにつながります。
体重を定期的にはかる
体重は、健康状態を映す鏡です。月に1回ほど、体重をはかって記録しておくと、少しずつの変化にも気づけます。猫は小さな体なので、数百グラムの減少でも、体にとっては大きな変化です。
飼い主さんが猫を抱いて体重計にのり、自分の体重を引くと、かんたんにはかれます。数字で記録しておくと、受診のときにも役立ちます。
食べる量と様子を見る
どのくらい食べているか、食べ方に変化はないかを、よく見てあげてください。食べたそうにするのに食べない、片側だけでかむ、食べこぼすといった様子があれば、歯や口の痛みが原因かもしれません。
食欲そのものが落ちているのか、食べているのに痩せるのかで、考えられる原因が変わります。この違いは、受診のときに獣医師へ伝える大切な情報になります。
食事の工夫で、体重を支える
痩せてきた老猫には、食事の工夫も役立ちます。ただし、持病がある場合は、療法食など、食事の内容が病気によって変わるので、かならず獣医師に相談してから進めてください。
一般的な工夫としては、消化のよいシニア向けのフードを選ぶ、少量をこまめに与える、フードを温めて香りを立て食欲を引き出す、といった方法があります。水分が不足しがちな子には、ウェットフードを取り入れるのもよいでしょう。食欲が落ちているときの工夫は、老猫がごはんを食べないときの記事でもくわしくお伝えしています。
猫は、痩せを見のがされやすい動物です
猫は、もともと少食で気まぐれなところがあり、体調が悪くても、ふだん通りにふるまうことがあります。また、毛におおわれているため、見た目では痩せに気づきにくいのです。
だからこそ、なでたときの背骨や腰骨の感触、抱いたときの重さ、体重の記録といった、飼い主さんの日々の気づきが、とても大切になります。あれ、と思ったときが、受診のタイミングです。猫の痩せは、様子を見るより、早めに動くことが、その子を守ることにつながります。
治療費への備えも考えておきましょう
甲状腺や腎臓の病気は、検査や治療、療法食などで、継続的に費用がかかることがあります。シニア期は、こうした通院や治療が増える時期です。ペット保険に入っている場合は、補償の範囲を確認しておきましょう。
これから備えるなら、シニアでも入れる保険を探す方法や、ペットのための貯金という方法があります。くわしくは、シニアでも入れるペット保険の記事を参考にしてください。お金の備えがあると、いざというときに、費用を気にせず治療に専念できます。
痩せとあわせて見たい、ほかのサイン
痩せてきたときは、ほかにも気になる変化がないかを、あわせて見てあげてください。いくつかのサインが重なると、病気の可能性が高まります。次の表を参考に、当てはまるものがないか確かめてみましょう。
| あわせて見たいサイン | 考えられること |
|---|---|
| 水をよく飲む、おしっこが増えた | 腎臓病や糖尿病の可能性 |
| よく食べるのに痩せる、活発すぎる | 甲状腺機能亢進症の可能性 |
| 毛づやが悪くなった | 栄養状態や内臓の不調のサイン |
| 吐く、下痢をする | 消化器の不調の可能性 |
| 口を気にする、食べこぼす | 歯や口の痛みの可能性 |
甲状腺機能亢進症とは
甲状腺機能亢進症は、シニアの猫にとても多い病気のひとつです。甲状腺ホルモンが過剰に出ることで、体の代謝が異常に活発になります。よく食べるのに痩せていく、落ち着きがなく活発になる、よく鳴く、毛づやが悪くなる、といった変化が現れます。
一見、食欲もあって元気そうに見えるため、見のがされやすいのが特徴です。放っておくと心臓などに負担がかかりますが、血液検査で分かり、治療で症状を落ち着かせることができます。食べているのに痩せる、と感じたら、まずこの病気を疑ってみてください。
慢性腎臓病とは
慢性腎臓病も、シニアの猫に非常に多く見られる病気です。腎臓の働きがゆっくりと低下していく病気で、水をよく飲む、おしっこの量が増える、食欲が落ちる、痩せる、毛づやが悪くなる、といったサインが現れます。
ゆっくり進行するため、気づいたときには進んでいることも少なくありません。完全に治すことはむずかしいですが、早く見つけて、療法食や点滴などのケアを始めることで、進行をゆるやかにし、その子が穏やかに過ごせる時間を延ばせることがあります。だからこそ、早期発見が何より大切なのです。
脱水にも気をつけましょう
痩せてきた猫は、水分が不足して脱水を起こしやすくなります。とくに腎臓の働きが弱っていると、体から水分が失われやすくなります。首の後ろの皮膚をつまんで、なかなか元に戻らないときは、脱水のサインかもしれません。
水飲み場をいくつか用意する、器を変えてみる、ウェットフードで水分をとらせるといった工夫で、水分補給を助けてあげてください。ただし、飲水量が急に変わったときは、病気のサインでもあるので、動物病院に相談しましょう。
多頭飼いのときの、痩せの見つけ方
複数の猫を飼っていると、どの子がどれだけ食べているか、どの子が痩せてきたのかが、分かりにくくなります。みんなで同じ場所で食べていると、食が細い子のごはんを、ほかの子が食べてしまうこともあります。
気になるときは、食事を一頭ずつ分けて与え、それぞれがどのくらい食べているかを見てあげましょう。体重も、一頭ずつ定期的にはかって記録しておくと、変化に気づけます。抱いたときの重さや、背骨の感触の違いにも、日ごろから気を配ってあげてください。
高齢の猫でも、できるケアはあります
高齢だから、痩せてきても仕方がない、とあきらめる必要はありません。原因が甲状腺や腎臓の病気であれば、療法食や投薬、点滴といったケアで、症状を落ち着かせ、その子が穏やかに過ごせる時間を延ばせることがあります。
検査も、体への負担が少ないものが多くあります。どこまで治療をするかも含めて、獣医師とよく相談しながら、その子にとって無理のない、いちばん楽な方法を選んであげてください。できることは、まだきっとあります。
食器や食べる環境を工夫する
痩せてきた老猫には、食べやすい環境を整えてあげることも大切です。年をとると、下を向いて食べる姿勢がつらくなることがあるので、食器を少し高い位置に置くと、首や足への負担が減り、食べやすくなります。
ほかの猫や生活音が気になって落ち着いて食べられない子には、静かな場所に食事スペースを移してあげましょう。器の素材によっては、ひげが当たるのを嫌がる子もいるので、浅めの器に変えてみるのもひとつの方法です。小さな工夫で、食べる量が増えることもあります。
よくある質問
年をとれば痩せるのは、自然なことではないのですか
加齢によって、筋肉が減り、少しずつ痩せていくこと自体はあります。しかし、目に見えて痩せてきた場合や、食欲や飲水量に変化がある場合は、病気が隠れていることが少なくありません。自然な老化と決めつけず、一度、動物病院で調べてもらうと安心です。
食欲はあるので、様子を見てもよいですか
食欲があるのに痩せる、というのは、甲状腺機能亢進症や糖尿病など、注意が必要な病気のサインであることがあります。むしろ、食べているのに痩せる場合こそ、早めの受診をおすすめします。様子を見すぎないようにしてください。
高齢だと、検査や治療は負担になりませんか
高齢だからと治療をあきらめる必要はありません。血液検査などは、体への負担が少ないものが多く、原因が分かれば、その子に合った、無理のない治療を選べます。どこまで治療するかも含めて、獣医師とよく相談しながら、その子にとって楽な方法を選んでください。
療法食を食べてくれないときは、どうすればよいですか
療法食は、味や食感が変わるため、食べてくれないことがあります。無理じいはせず、まずは今までのフードに少しずつ混ぜて慣らしてみてください。温めて香りを立てる、ウェットタイプに変えるといった工夫も有効です。それでも食べないときは、ほかの選択肢がないか、獣医師に相談しましょう。食べないまま痩せが進むより、食べられるものを見つけることが優先の場合もあります。
まとめ
老猫が痩せてきた、背骨がゴツゴツ触れるようになったときは、加齢のせいと決めつけず、病気のサインを疑うことが大切です。とくに、食べているのに痩せる、水をよく飲むようになった、といった変化があるときは、甲状腺や腎臓、糖尿の病気が隠れていることがあります。
まずは動物病院で検査を受け、原因を調べてもらいましょう。家では、体重をはかる、食べる様子を見るといった観察を続け、食事の工夫で体重を支えてあげてください。猫は不調を隠す動物だからこそ、飼い主さんの早めの気づきが、その子の毎日を守ります。抱いたときの重さ、背骨の感触、水を飲む量。そうした日々のささいな変化に気づけるのは、いつもそばにいるあなただけです。
あれ、と思ったら、どうか様子を見すぎず、早めに動物病院を頼ってください。それが、その子と少しでも長く、穏やかに過ごすための、いちばんの近道です。


