老犬が震えるのはなぜ?考えられる原因と、家でできる対処・受診の目安

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老犬が震えているとき、まず落ち着いて観察を
愛犬が小刻みに震えているのを見ると、どこか悪いのではないかと、心配でたまらなくなります。老犬の震えには、心配のいらないものから、すぐに受診が必要なものまで、さまざまな原因があります。
大切なのは、あわてず、まずその子の様子をよく観察することです。いつから震えているのか、どんなときに震えるのか、ほかに気になる様子はないか。こうした点を確かめておくと、原因の見当がつきやすく、動物病院を受診するときにも役立ちます。この記事では、老犬が震える原因と、家でできる対処、そして受診の目安を、順を追ってお伝えします。
老犬が震える、おもな原因
震えの原因は、大きく分けると、心配の少ないものと、注意が必要なものがあります。まずは全体を、次の表で見てみましょう。
| 原因 | おもな内容 |
|---|---|
| 寒さ | 体温を保つために、体を震わせます |
| 老化による筋力低下 | 足腰の筋肉が衰え、体を支えきれず震えます |
| 不安やストレス | こわい、緊張しているときに震えます |
| 痛み | どこかが痛くて、震えていることがあります |
| 病気 | 低血糖や発熱、内臓の不調などのサインのことも |
寒さによる震え
もっとも分かりやすい原因が、寒さです。老犬は、若いころより体温を保つ力が弱くなっているため、少しの冷えでも震えやすくなります。
冬の寒い日や、エアコンのきいた部屋、お風呂あがりなどに震えているなら、まず体を温めてあげましょう。毛布でくるむ、あたたかい寝床を用意する、部屋の温度を上げるといった対処で、震えがおさまれば、寒さが原因だったと考えられます。
老化による筋力の低下
年をとって足腰の筋肉が衰えると、体を支えるために力が入り、震えることがあります。特に、立ち上がるときや、長く立っているときに、後ろ足がプルプルと震えるのは、筋力の低下によるものが多いです。
これは老化にともなう自然な変化ですが、負担を減らすために、滑りにくい床にする、こまめに休ませるといった工夫をしてあげてください。急に強くなった場合は、別の原因も考えられます。
不安やストレスによる震え
犬は、こわいときや緊張したときにも震えます。雷や花火の音、動物病院、知らない人や場所など、不安を感じる場面で震えるのは、心の反応です。年をとると、こうした不安を感じやすくなる子もいます。
この場合は、そばで安心させてあげることが大切です。やさしく声をかけ、体をなでて、落ち着ける環境をつくってあげてください。
痛みや病気による震えに注意
気をつけたいのが、痛みや病気による震えです。関節や内臓の痛み、発熱、吐き気などがあると、体を丸めて震えることがあります。また、低血糖や、腎臓などの内臓の病気、中毒などでも、震えが現れることがあります。
とくに、震えとあわせて、ぐったりしている、食欲がない、吐く、呼吸が荒いといった様子があるときは、病気のサインの可能性が高く、すぐに動物病院を受診する必要があります。単なる寒さや老化と決めつけず、ほかの症状にも目を向けてください。
震えと痙攣は、別のものです
震えと似ていて、まったく意味の違うものに、痙攣があります。
この2つは、対応の緊急度が大きく違うので、見分け方を知っておきましょう。
| 震え | 痙攣 | |
|---|---|---|
| 意識 | あり、呼びかけに反応する | ないことが多い |
| 体の様子 | 小刻みにふるえる | 体を硬直させ、手足をばたつかせる |
| 止められるか | 体をさすると止まることがある | 自分では止められない |
痙攣は、てんかんや、脳や内臓の病気のサインであることがあります。意識がない、体が硬直する、口から泡をふくといった様子が見られたら、それは震えではなく痙攣の可能性が高いです。
痙攣が起きたら、あわてて体をゆすらず、周りの危険なものをどけて、けがをしないように見守り、時間を計って、できれば動画を撮っておきましょう。そして、すぐに動物病院に連絡してください。動画は診断の大きな助けになります。
家でできる対処
心配の少ない震えの場合は、家でできる対処があります。まず、寒そうにしているなら、毛布や暖房で体を温めます。不安そうなら、そばで声をかけ、なでて安心させてあげましょう。
滑りやすい床で踏ん張って震えているなら、滑り止めのマットを敷いてあげてください。ただし、これらを試しても震えがおさまらない、あるいは、ほかの気になる症状があるときは、家での対処にこだわらず、動物病院で診てもらうことが大切です。
動物病院を受診する目安
次のようなときは、老化や寒さと決めつけず、早めに動物病院を受診してください。震えは、体からの大切なサインであることがあります。
| 受診したほうがよいサイン | 補足 |
|---|---|
| 温めても震えが止まらない | 寒さ以外の原因が考えられます |
| ぐったりして元気がない | 痛みや病気のサインです |
| 食欲がない、吐く、下痢をする | 体調不良のあらわれです |
| 呼吸が荒い、苦しそう | すぐに受診が必要です |
| 意識がない、体が硬直する | 痙攣の可能性があり、緊急です |
受診のときに伝えるとよいこと
受診のときは、いつから震えているか、どんなときに震えるか、ほかに症状はないかを、できるだけくわしく伝えてください。
震えている様子や、痙攣のような発作があった場合は、その動画を撮っておくと、診断の大きな助けになります。ふだんの様子を知っている飼い主さんの情報は、獣医師にとって、とても大切な手がかりになります。
シニア期は、こまめな健康チェックを
震えのような小さな変化は、シニア期の体の不調を知らせるサインであることがあります。日ごろから、体をなでてしこりや痛がる場所がないか、食欲や水を飲む量に変化はないかを、さりげなく確かめておきましょう。
また、シニア期は、症状が表に出る前に病気を見つけるためにも、年に1回から2回の健康診断がおすすめです。早めの気づきが、その子の負担を減らします。シニア期のケアについては、シニア期のガイドの記事もあわせてご覧ください。
治療費への備えも考えておきましょう
震えの原因が病気だった場合、検査や治療に、思った以上に費用がかかることがあります。シニア期は、こうした通院や治療が増える時期です。
ペット保険に入っている場合は、補償の範囲を確認しておきましょう。これから備えるなら、シニアでも入れる保険を探す方法や、ペットのための貯金という方法があります。くわしくは、シニアでも入れるペット保険の記事を参考にしてください。お金の備えがあると、いざというときに、費用を気にせず治療に専念できます。
小型犬は、低血糖による震えに注意
チワワやトイプードルなどの小型犬、とくに高齢の子は、低血糖による震えに注意が必要です。食事の間隔があきすぎたり、体調をくずして食べられなかったりすると、血糖値が下がり、震えやぐったり、ふらつきといった症状が出ることがあります。
低血糖は、進行すると意識を失うこともある、こわい状態です。震えとあわせて元気がない、ふらつくといった様子があるときは、すぐに動物病院に連絡してください。応急処置として、少量のブドウ糖やはちみつを与える方法もありますが、自己判断でむやみに行わず、まずは獣医師の指示をあおぐのが安心です。
犬種や体格による、震えやすさのちがい
震えやすさは、犬種や体格によってもちがいます。小型犬や、毛の短い犬種は、体が冷えやすく、寒さで震えやすい傾向があります。
また、高齢になると、どの犬種でも筋力が落ち、体を支えるために震えることが増えます。もともと緊張しやすく、震えやすい性格の子もいます。その子の体質やふだんの様子を知っておくと、いつもの震えなのか、それともいつもと違うのかを、判断しやすくなります。
家での温めかたの工夫
寒さで震えているときは、体を温めてあげましょう。毛布でくるむ、あたたかい寝床を用意する、部屋全体の温度を上げる、といった方法があります。湯たんぽを使うときは、直接肌に当てず、タオルで包んで、低温やけどに気をつけてください。
ホットカーペットやヒーターも、自分で動けない子は熱くても逃げられないことがあるので、温度に注意し、様子を見ながら使いましょう。急に熱いものを当てるより、やさしく、じんわり温めてあげるのがコツです。
てんかん発作の可能性もあります
高齢になってから、はじめて発作を起こす子もいます。脳の病気などが原因で、てんかん発作が起こることがあるのです。発作のときは、意識がなくなり、体を硬直させたり、手足をばたつかせたりします。
これは震えとは違い、緊急の対応が必要です。発作が起きたら、周りの危険なものをどけて、けがをしないよう見守り、体をゆすったり口に手を入れたりしないでください。発作の時間を計り、できれば動画を撮って、すぐに動物病院に連絡しましょう。落ち着いてからでよいので、必ず受診してください。
震えているときに、してはいけないこと
震えている老犬に対して、してはいけないこともあります。まず、人間用の薬を自己判断で与えるのは絶対にやめてください。犬には危険な成分が含まれていることがあります。
また、寒がっていないのに温めすぎると、かえって体に負担がかかることもあります。大きな声で驚かせたり、無理に押さえつけたりするのも、不安を強めるので避けましょう。そして、いちばん気をつけたいのが、様子を見すぎることです。ほかに気になる症状があるのに、老化のせいと放っておくと、病気の発見が遅れることがあります。迷ったら、動物病院に相談してください。
予防のためにできること
震えを減らすために、日ごろからできることもあります。寒さ対策として、あたたかい寝床や服を用意する。滑りやすい床には滑り止めを敷き、足腰の負担を減らす。無理のない範囲で体を動かし、筋力を保つ。不安を感じにくい、落ち着いた環境をつくる。こうした工夫が、震えの予防につながります。
そして、シニア期は、症状が出る前に病気を見つけるためにも、年に1回から2回の健康診断を受けておくと安心です。ふだんから体をさわって、その子の変化に気づけるようにしておきましょう。
飼い主さんが、不安になりすぎないことも大切です
愛犬が震えていると、心配で、こちらまで動揺してしまうものです。けれど、飼い主さんの不安や緊張は、犬にも伝わります。
まずは、あなた自身が深呼吸をして、落ち着いて様子を観察してください。落ち着いた声で名前を呼び、そっと寄り添うことが、その子の安心にもつながります。心配な症状があれば記録して、動物病院に相談すれば大丈夫です。あわてず、けれど見のがさず。その姿勢が、その子をいちばん支えます。
よくある質問
寝ているときに、ピクピク震えるのは大丈夫ですか
眠っているときに、手足や口元がピクピク動くのは、多くの場合、夢を見ているだけで心配いりません。
呼びかければ、いつも通り目を覚まします。ただし、起こしても目覚めない、体が硬直しているといった場合は、痙攣の可能性があるので、動物病院に相談してください。
震えているとき、抱っこしてもよいですか
不安や寒さで震えているなら、抱っこして安心させてあげるのはよいことです。
ただし、どこかに痛みがある場合は、抱き方によって痛がることがあるので、そっと様子を見ながら触れてください。嫌がるときは、無理に抱かず、そばで見守ってあげましょう。
病院に行くほどではない気もします。どう判断すればよいですか
迷ったときは、震え以外の様子を目安にしてください。
温めたり安心させたりして震えがおさまり、そのあと食欲も元気もいつも通りなら、まずは様子を見ても大丈夫です。反対に、震えが続く、元気や食欲がない、繰り返すといったときは、受診をおすすめします。判断に迷うこと自体が受診のきっかけと考えて、気軽に相談してよいのです。
まとめ
老犬が震える原因には、寒さや老化による筋力低下、不安といった心配の少ないものから、痛みや病気といった注意が必要なものまであります。
まずは、体を温める、安心させるといった対処を試し、それでもおさまらないときや、ぐったりしている、食欲がないといったほかの症状があるときは、早めに動物病院を受診してください。意識のない硬直をともなう場合は、震えではなく痙攣の可能性があり、緊急です。
震えは、その子の体からの大切なサインです。小さな変化を見のがさず、早めに気づいてあげることが、その子を守ることにつながります。心配しすぎる必要はありませんが、いつもと違うと感じたときは、どうかその直感を大切にしてください。毎日そばにいるあなたの気づきこそが、その子にとって、いちばんの見守りになります。


