老犬の後ろ足に力が入らない。考えられる原因と、歩行を支える介護

老犬の後ろ足に力が入らない。考えられる原因と、歩行を支える介護

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後ろ足に力が入らないとき、まず様子を確認しましょう

愛犬の後ろ足がふらつく、立ち上がるのに時間がかかる、力が入らずへたり込んでしまう。こうした様子を見ると、飼い主さんは心配でたまらなくなります。老犬の後ろ足の衰えには、加齢による自然な筋力の低下から、関節や神経の病気まで、さまざまな原因があります。

大切なのは、いつから、どんなふうに力が入らないのかをよく観察し、原因に合わせて対応することです。とくに、急に立てなくなった、痛がる、といった場合は、急いで動物病院を受診する必要があります。この記事では、後ろ足に力が入らない原因と、家でできる歩行のサポートを、順を追ってお伝えします。

後ろ足に力が入らない、おもな原因

後ろ足の力が入らなくなる背景には、いくつかの原因があります。ゆっくり進むものと、急に起こるものがあり、対応の緊急度も変わります。まずは全体を、次の表で見てみましょう。

原因特徴
加齢による筋力低下ゆっくり進み、立ち上がりや長い歩行でふらつく
関節の病気変形性関節症などで、痛みから動きたがらない
神経の病気椎間板ヘルニアなどで、急に麻痺することも
その他の不調心臓や貧血などで、力が入らないこともある

加齢による筋力低下

年をとると、後ろ足の筋肉が少しずつ衰えていきます。とくに後ろ足は、体を支え、立ち上がる力に関わるため、衰えが目立ちやすい部分です。

立ち上がるときに後ろ足がプルプルと震える、長く歩くとふらつく、といった様子は、筋力低下によるものが多いです。これは老化にともなう自然な変化ですが、そのまま動かさないでいると、さらに筋力が落ちてしまいます。無理のない範囲で運動を続け、負担を減らす工夫をしてあげることが大切です。

関節の病気

変形性関節症などの関節の病気があると、動くと痛いために、後ろ足に力を入れられなくなります。立ち上がるのを嫌がる、歩き方がぎこちない、さわると痛がる、といったサインが見られます。関節の痛みは、その子のやる気や食欲にも影響します。動物病院では、痛みをやわらげる治療を受けられることがあるので、痛みが疑われるときは相談してください。

神経の病気

注意したいのが、椎間板ヘルニアなどの神経の病気です。背骨の中の神経が圧迫されると、後ろ足が急に動かなくなったり、麻痺したりすることがあります。

急に立てなくなった、後ろ足を引きずる、足先の感覚がない、強く痛がる、おしっこが自分で出せない、といったサインは、緊急のサインです。時間がたつほど回復がむずかしくなることがあるので、すぐに動物病院を受診してください。

急に立てなくなったときは、すぐに受診を

ゆっくり進む筋力低下とちがい、急に後ろ足が動かなくなったときは、緊急の対応が必要です。神経の病気や、脳の異常、その他の急な体調変化が原因のことがあります。

強い痛みをともなう、足を引きずる、ぐったりしている、といった場合は、様子を見ずに、できるだけ早く動物病院へ連れて行ってください。運ぶときは、体を水平に保ち、背中をねじらないように、板やタオルにのせて支えてあげると安心です。急な変化ほど、早い受診がその後を左右します。

動物病院で調べること

動物病院では、歩き方や神経の反応を診たうえで、必要に応じてレントゲンや血液検査などで原因を調べます。関節の変形や、背骨の異常、内臓の状態などを確認し、原因に合った治療やケアを提案してもらえます。

原因が分かれば、痛みをやわらげる、進行をゆるやかにする、リハビリで筋力を保つなど、その子に合った対応が見えてきます。老化のせいと決めつけず、一度、専門家に診てもらうことが大切です。

家でできる歩行のサポート

原因の治療とあわせて、家でも、歩きやすい環境を整えてあげましょう。ちょっとした工夫で、その子の負担がぐっと軽くなります。

滑り止めで転倒を防ぐ

フローリングは、力の弱った後ろ足にとって、とても滑りやすく危険です。よく歩く場所に、滑り止めのマットやタイルカーペットを敷いてあげましょう。足がふんばれるようになると、転倒が減り、その子も歩きやすくなります。足の裏の毛が伸びていると滑りやすいので、こまめにカットしてあげるのも効果的です。

歩行補助ハーネスを使う

自分の力で立ち上がったり歩いたりするのがむずかしくなってきたら、歩行補助ハーネスが役立ちます。おなかや後ろ足を持ち上げて支えられるので、散歩やトイレのときの負担が減り、飼い主さんの腰への負担も軽くなります。まだ自分で歩ける子には、必要な場面だけ支える程度にして、筋力を使う機会も残してあげるのがコツです。

段差にスロープを置く

ソファやベッド、玄関の段差は、後ろ足の弱った子には大きな負担です。スロープや、低いステップを置いてあげると、上り下りが楽になります。無理にジャンプさせると、関節や背中をいためることがあるので、段差はできるだけなくしてあげましょう。

車椅子という選択もあります

後ろ足がほとんど動かなくなっても、あきらめる必要はありません。ペット用の車椅子を使えば、後ろ足を支えながら、自分の力で前に進めるようになります。

外の空気を感じながら散歩でき、その子の気力や筋力の維持にもつながります。体格に合わせたものを選ぶことが大切なので、獣医師や専門店に相談して、その子に合ったものを選んであげてください。車椅子で生き生きと歩けるようになる子も、たくさんいます。

筋力を保つ運動とリハビリ

動かないでいると、筋力はどんどん落ちてしまいます。無理のない範囲で体を動かし、筋力を保つことが大切です。

短い距離をゆっくり歩く、支えながら立つ練習をする、といったことが、リハビリになります。水中を歩くリハビリなど、専門的なメニューを受けられる施設もあります。ただし、痛みがある場合や、やり方に不安があるときは、無理をせず、獣医師やリハビリの専門家に相談してください。その子の状態に合った運動を、無理なく続けることが大切です。

足腰にやさしい住環境を整える

毎日過ごす家の環境を、足腰にやさしく整えてあげましょう。滑り止めを敷く、段差をなくす、寝床をやわらかいものにする、トイレやごはんの場所を近くにする。

こうした工夫で、その子が無理なく動ける範囲が広がります。転倒によるケガを防ぐことは、その子が長く自分の足で動くためにも大切です。生活動線を見直して、危ない場所がないか確認してみてください。

体重管理にも気を配って

体が重いと、それだけ後ろ足への負担が大きくなります。太りすぎは、関節にも脚の筋肉にも負担をかけるので、シニア期は体重管理にも気を配りましょう。運動量が減るぶん、食事の量やカロリーを見直すことも大切です。ただし、痩せすぎも筋力の低下につながるので、その子に合った適正な体重を、獣医師に相談しながら保ってあげてください。

使うと楽になる介護用品

後ろ足の弱った子の介護には、便利な道具を上手に使うと、その子にも飼い主さんにも負担が減ります。次のようなものが役立ちます。

介護用品役立つこと
歩行補助ハーネス後ろ足を支え、歩行やトイレを助けます
滑り止めマットふんばりをよくし、転倒を防ぎます
スロープやステップ段差の上り下りを楽にします
ペット用車椅子自分の力で歩く楽しみを保てます

飼い主さんの負担も減らしましょう

歩行の介助や、支えながらのトイレは、飼い主さんの体にも負担がかかります。抱き上げるときは腰をいためないよう気をつけ、大型犬の場合は無理をせず、二人で支えたり、道具を使ったりしましょう。

介護が長く続くと、心身ともに疲れがたまります。ひとりで抱え込まず、家族で分担したり、外のサービスを頼ったりしてください。介護と生活の両立については、介護と仕事の両立の記事もあわせてご覧ください。介護用品の選び方は、老犬・老猫の介護用品の記事でもお伝えしています。

前庭疾患による、突然のふらつき

老犬に多い病気のひとつに、前庭疾患があります。体のバランスを保つ器官に異常が起きることで、ある日突然、頭が傾く、まっすぐ歩けずぐるぐる回る、目が小刻みに揺れる、といった症状が出ます。

後ろ足に力が入らないように見えることもあります。見た目が急なので、飼い主さんはとても驚きますが、原因によっては、数日から数週間で少しずつ回復することもあります。ただし、脳の病気が隠れていることもあるので、自己判断せず、動物病院で診てもらってください。症状が出ているあいだは、ぶつかってケガをしないよう、周りを片づけて安静にさせてあげましょう。

トイレのサポート

後ろ足に力が入らなくなると、トイレの姿勢を保つのもむずかしくなります。おしっこやうんちのときに、後ろ半身を支えてあげると、その子も楽に排泄できます。

歩行補助ハーネスを使えば、体を持ち上げて支えられます。自分で出せなくなったり、粗相が増えたりした場合は、おむつや防水シーツを活用しましょう。汚れたらこまめに拭いて、お尻まわりを清潔に保ってあげてください。排泄の介助は、その子の尊厳を守る大切なケアです。やさしく声をかけながら、手伝ってあげてください。

その子の「歩きたい」気持ちを支える

後ろ足が弱っても、外の空気を感じたい、歩きたいという気持ちは、その子のなかに残っています。

歩けなくなっても、カートに乗せて散歩に連れ出したり、支えながら少し歩かせたりすると、よい刺激になり、気力の維持につながります。少しでも自分の足で歩けたときの、うれしそうな表情を見られることもあります。あきらめず、その子ができることを、できる形で支えてあげてください。動けないからと家にこもりきりにせず、五感を使える機会をつくってあげることが、その子の生活の質を保ちます。

足腰を守るための、日ごろの心がけ

後ろ足の衰えを、少しでもゆるやかにするために、日ごろからできることがあります。

適正な体重を保って関節への負担を減らす、無理のない範囲で毎日体を動かして筋力を保つ、滑りにくい床にする、段差を減らす、足の裏の毛や爪をこまめに整える。こうした心がけが、足腰を守ることにつながります。若いうちからの積み重ねが理想ですが、シニアになってからでも、遅すぎることはありません。その子の状態に合わせて、無理のない範囲で続けてあげてください。小さな工夫の積み重ねが、その子が自分の足で歩ける時間を延ばします。

介護がつらくなってきたら

歩行の介助が毎日続くと、飼い主さんの心と体にも、負担が積み重なっていきます。

つらいと感じたら、それは限界のサインです。ひとりで抱え込まず、家族で分担したり、ペットシッターや老犬ホームといった外の手を借りたりしてください。自分の体もいたわりながらでなければ、介護は長く続けられません。あなたが元気でいることが、その子を支える土台になります。頼ることは、けっして甘えではありません。介護と生活の両立については、介護と仕事の両立の記事もあわせてご覧ください。

よくある質問

後ろ足を引きずっていますが、様子を見てもよいですか

足を引きずる、感覚がなさそう、急に動かなくなった、といった場合は、神経の病気の可能性があり、緊急のことがあります。様子を見ず、できるだけ早く動物病院を受診してください。時間がたつほど、回復がむずかしくなることがあります。

歩けないなら、運動させないほうがよいですか

まったく動かさないと、さらに筋力が落ちてしまいます。支えながら立つ、短い距離を歩く、車椅子を使うなど、無理のない範囲で体を動かすことが大切です。どのくらい動かしてよいかは、その子の状態によるので、獣医師に相談しながら進めてください。

まとめ

老犬の後ろ足に力が入らない原因には、加齢による筋力低下、関節の病気、神経の病気などがあります。

とくに、急に立てなくなった、痛がる、麻痺しているといった場合は、緊急のサインなので、すぐに動物病院を受診してください。家では、滑り止めや歩行補助ハーネス、スロープ、車椅子といった工夫で、その子の歩行を支えられます。無理のない運動で筋力を保ち、足腰にやさしい環境を整えてあげましょう。

その子が最後まで自分の足で動ける喜びを、飼い主さんの工夫で支えてあげてください。歩く力が弱っても、その子があなたを頼り、あなたを慕う気持ちは変わりません。できる範囲で寄り添いながら、いっしょに穏やかな時間を重ねていきましょう。

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