老犬が水をよく飲むのはなぜ?多飲多尿のサインと、隠れた病気

老犬が水をよく飲むのはなぜ?多飲多尿のサインと、隠れた病気

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「水をよく飲む」は、見のがしてはいけないサインです

最近、老犬が水をよく飲むようになった。水飲み場の水がすぐになくなる、おしっこの量が増えた。こうした変化に気づいたら、それは体からの大切なサインかもしれません。暑い時期や運動のあとに水をたくさん飲むのは自然なことですが、とくに理由もないのに飲む量が増えたときは、注意が必要です。

水をよく飲み、おしっこもたくさん出る状態を、多飲多尿といい、シニアの犬に多い病気のサインであることが少なくありません。この記事では、飲水量の目安や、考えられる病気、受診の目安をお伝えします。様子を見すぎず、早めに気づいてあげることが大切です。

1日にどれくらい飲むと「多飲」なのでしょうか

多飲かどうかを判断する、おおよその目安があります。一般的に、体重1kgあたり、1日に100ミリリットル以上を飲む場合は、多飲とされます。体重別の目安を、次にまとめました。あくまで目安ですが、これを超えて飲むようなら、一度、動物病院に相談することをおすすめします。

体重多飲の目安(1日あたり)
5kg500ミリリットル以上
10kg1リットル以上
20kg2リットル以上
30kg3リットル以上

この目安を超えていなくても、以前とくらべて明らかに飲む量が増えたと感じるなら、それも大切なサインです。数字だけでなく、ふだんとの変化に注目してください。

飲水量のはかり方

実際にどのくらい飲んでいるのかは、少しの工夫ではかれます。朝、決まった量の水を器に入れておき、24時間後に残った量を引けば、その日に飲んだおおよその量が分かります。複数の水飲み場がある場合は、すべての器で計算してください。蒸発の分もあるので、正確でなくてかまいません。

数日続けてはかり、記録しておくと、変化がはっきり分かります。この記録は、動物病院を受診するときの、大切な情報になります。

考えられる病気

多飲多尿の背景には、シニアの犬に多い、いくつかの病気が隠れていることがあります。おもなものを、次にまとめました。どれも、早く見つけて対応することが大切です。

病気特徴
慢性腎臓病老廃物を排出できず、薄いおしっこが増える
糖尿病血糖が高くなり、よく食べるのに痩せることも
クッシング症候群ホルモンの異常で、水をよく飲み、おなかが張る
子宮蓄膿症避妊していないメスに起こる、命に関わる病気

慢性腎臓病

慢性腎臓病は、シニアの犬にとても多い病気です。腎臓の働きが弱ると、体の水分をうまく保てなくなり、薄いおしっこがたくさん出て、その分、水をたくさん飲むようになります。ゆっくり進行するため、多飲多尿は早い段階で気づけるサインのひとつです。早く見つけて、療法食などのケアを始めることで、進行をゆるやかにできることがあります。

糖尿病

糖尿病になると、血液中の糖が増え、それを排出するために、おしっこの量が増えます。その結果、水をよく飲むようになります。よく食べているのに痩せてきた、という変化をともなうこともあります。糖尿病は、早めに治療を始めることが大切な病気です。放っておくと、重い状態に進むことがあります。

クッシング症候群

クッシング症候群は、副腎から出るホルモンが過剰になる病気で、シニアの犬に見られます。水をよく飲む、たくさん食べる、おなかが張って見える、毛が薄くなる、といったサインが現れます。ゆっくり進行するため、老化と間違えられやすいのですが、治療できる病気です。気になるサインが重なるときは、受診してください。

子宮蓄膿症

避妊手術をしていないメスの犬では、子宮蓄膿症という病気にも注意が必要です。子宮に膿がたまる病気で、多飲多尿のほか、元気がない、食欲がない、おなかが張る、陰部から膿が出る、といったサインが見られます。進行すると命に関わることもある、緊急性の高い病気です。避妊していないメスで、こうしたサインが見られたら、すぐに動物病院を受診してください。

あわせて見たいサイン

多飲多尿とあわせて、次のようなサインがないかも見てあげてください。いくつか重なると、病気の可能性が高まります。

あわせて見たいサイン補足
おしっこの量や回数が増えた多飲多尿の代表的なサインです
食欲や体重の変化よく食べるのに痩せる、食欲がないなど
元気がない、ぐったりする体調不良のあらわれです
おなかが張って見えるホルモンの病気などの可能性

動物病院を受診する目安

飲水量が目安を超えている、以前より明らかに増えた、ほかにも気になるサインがある。こうしたときは、老化のせいと決めつけず、動物病院を受診してください。多飲多尿の原因は、血液検査や尿検査で調べられることが多く、早く見つかれば、それだけ対応の幅が広がります。とくに、避妊していないメスで元気や食欲がないときや、急にぐったりしたときは、急いで受診してください。

受診のときに伝えるとよいこと

受診のときは、いつごろから水を飲む量が増えたか、1日にどのくらい飲んでいるか、おしっこの量や回数、食欲や体重の変化、そのほか気になる様子を、できるだけくわしく伝えてください。

飲水量を数日はかった記録があると、診断の大きな助けになります。ふだんの様子を知っている飼い主さんの情報は、獣医師にとって、とても大切な手がかりになります。

家で気をつけたいこと

水をよく飲むからといって、水を制限するのは、絶対にやめてください。病気で水を必要としている場合、水を減らすと脱水を起こし、かえって体に大きな負担がかかります。原因がはっきりするまでは、いつでも新鮮な水を飲めるようにしておきましょう。飼い主さんができるのは、水を減らすことではなく、飲む量をはかって記録し、早めに受診することです。原因を突き止め、その病気に合ったケアをすることが、いちばんの対応になります。

治療費への備えも考えておきましょう

腎臓病や糖尿病、クッシング症候群などは、検査や治療、療法食などで、継続的に費用がかかることがあります。シニア期は、こうした通院や治療が増える時期です。ペット保険に入っている場合は、補償の範囲を確認しておきましょう。

これから備えるなら、シニアでも入れる保険を探す方法や、ペットのための貯金という方法があります。くわしくは、シニアでも入れるペット保険の記事を参考にしてください。備えがあると、いざというときに、費用を気にせず治療に専念できます。

おしっこの変化も、あわせて観察しましょう

多飲は、多尿とセットで現れることがほとんどです。水をよく飲むことに気づいたら、おしっこの変化もあわせて見てあげてください。量が増えた、回数が増えた、色が薄く水のようになった、においが薄くなった、といった変化は、多飲多尿のサインです。

トイレシーツを使っている場合は、吸う量が増えたと感じることもあります。飲水量とあわせて、おしっこの様子も記録しておくと、動物病院での診断に役立ちます。数字にしにくいときは、いつもとくらべてどうか、という感覚で大丈夫です。

動物病院では、どんな検査をするのでしょうか

多飲多尿の原因を調べるために、動物病院ではいくつかの検査を行います。血液検査では、腎臓の状態や血糖値、ホルモンの異常などを調べられます。尿検査では、おしっこの濃さや、糖が出ていないかを確認します。必要に応じて、超音波検査でおなかの中を見ることもあります。これらの検査は、体への負担が比較的少ないものが多く、原因を特定する大きな手がかりになります。原因が分かれば、その子に合った治療や食事を始められます。

早期発見が、その子を助けます

多飲多尿は、腎臓病や糖尿病などの病気を、早い段階で気づかせてくれるサインです。これらの病気は、早く見つけて対応するほど、進行をゆるやかにでき、その子が穏やかに過ごせる時間を延ばせることがあります。

反対に、様子を見すぎて発見が遅れると、病気が進んでから見つかることになりかねません。水をよく飲む、という一見ささいな変化が、その子の未来を左右することもあるのです。だからこそ、見のがさず、早めに動くことが大切です。

定期健診で、見えない変化をとらえる

多飲多尿のような分かりやすいサインが出る前に、体の中では変化が始まっていることがあります。シニア期は、症状が出る前に病気を見つけるためにも、年に1回から2回の健康診断を受けておくと安心です。血液検査や尿検査で、腎臓や血糖の状態を定期的にチェックしておけば、異常があっても早い段階で気づけます。元気に見えても、定期的に診てもらう習慣をつけておきましょう。シニア期のケアについては、シニア期のガイドの記事もあわせてご覧ください。

塩分の多いものに、気をつけていますか

病気のほかに、食べているものが原因で、水をよく飲むこともあります。しょっぱいおやつや、味の濃い人の食べ物を与えていると、のどが渇いて水を欲しがります。

人の食べ物は、塩分だけでなく、犬の体に負担をかけるものも多いので、日ごろから与えないようにしましょう。ただし、食事を見直す前に、まずは病気が隠れていないかを確認することが大切です。自己判断で食事を変えるのではなく、気になるときは獣医師に相談してください。

水飲み場を整えて、飲みやすく

病気による多飲でない場合でも、水分をとることは、シニアの体にとって大切です。飲みやすいように、水飲み場を数か所に用意し、いつも新鮮な水が飲めるようにしておきましょう。

器の高さを、下を向かずに飲める位置にしてあげると、首や足への負担が減ります。ただし、くり返しになりますが、飲む量が多いからといって、水を制限するのは絶対にやめてください。病気が原因の場合、水を減らすと脱水を起こし、命に関わることもあります。

受診を、ためらわないでください

多飲多尿は、体の中で起きている変化を知らせてくれる、とても分かりやすいサインです。だからこそ、これに気づいたときは、受診の価値が大きいのです。

血液検査や尿検査といった、体への負担の少ない検査で、原因が分かることが多くあります。老化のせいかもしれない、大げさかもしれない、とためらわず、気軽に相談してください。何もなければ安心できますし、もし病気があっても、早く見つかれば、それだけ対応の幅が広がります。

よくある質問

夏で暑いから、たくさん飲んでいるだけではないですか

暑い時期や、運動のあとに水をたくさん飲むのは自然なことです。ただ、涼しい時期や、とくに理由がないのに飲む量が増えた場合は、注意が必要です。飲水量をはかって、目安を超えていないか、以前より増えていないかを確かめてみてください。

水を飲む量が減った場合も、心配ですか

はい、飲む量が急に減った場合も、体調不良や脱水のサインのことがあります。飲みすぎも飲まなすぎも、どちらもふだんとの変化が大切なサインです。気になるときは、動物病院に相談してください。

複数の犬を飼っていて、どの子が飲んでいるか分かりません

多頭で飼っている場合は、水飲み場を分けて、一頭ずつの飲む量を確かめる方法があります。むずかしいときは、見守りカメラで飲んでいる様子を確認したり、全体の水の減り方がいつもより多くないかを見たりして、異変に気づけるようにしておきましょう。おしっこの様子とあわせて観察すると、どの子の変化かがつかみやすくなります。

まとめ

老犬が水をよく飲むようになったときは、多飲多尿という、病気のサインを疑うことが大切です。

体重1kgあたり1日100ミリリットルを超えて飲む場合や、以前より明らかに増えた場合は、慢性腎臓病や糖尿病、クッシング症候群、子宮蓄膿症などが隠れていることがあります。まずは飲水量をはかって記録し、早めに動物病院を受診してください。水を制限するのは、絶対にやめてください。多飲多尿は、早い段階で気づけるサインです。

この気づきが、その子の病気の早期発見につながり、穏やかに過ごせる時間を守ることになります。毎日そばにいる飼い主さんだからこそ、気づける変化があります。水飲み場をのぞいたときに、あれ、と思ったら、どうかその直感を大切にして、早めに動いてあげてください。それが、その子を守るいちばんの近道です。

心配なことがあれば、飲水量の記録を持って、かかりつけの動物病院に相談してみてください。早めの一歩が、その子の安心につながります。

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