ペットが亡くなったら会社を休める?忌引きの考え方と、角の立たない伝え方

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ペットに「忌引き」は使えるのでしょうか
大切な家族を失ったのですから、仕事を休んで見送りたい、気持ちを整えたいと思うのは、とても自然なことです。ところが、いざとなると「ペットで会社を休んでいいのだろうか」とためらってしまう方が少なくありません。まず知っておきたいのは、忌引き休暇には法律上の決まりがない、ということです。
忌引きは、会社が福利厚生として就業規則で定めているもので、その対象は多くの場合、人の親族に限られています。つまり、ペットが忌引きの対象になっている会社は、まだ多くありません。
とはいえ、これは「休めない」という意味ではありません。忌引きが使えなくても、有給休暇を使うという方法があります。有給休暇は、理由を問わず取得できる、働く人の権利です。ペットのために有給を使うことは、まったく問題のないことなのです。まずは、休むための方法があるということを知っておいてください。
実際、みんなはどうしているのでしょうか
ペットのために仕事を休むことについて、あるペット保険会社が調査を行っています。その結果から、多くの飼い主さんが同じように悩んでいることが見えてきます。
| 調査でわかったこと | 結果 |
|---|---|
| ペットのために休まなかった人 | 6割以上 |
| 休むとき、理由を正直に伝えなかった人 | 約5割 |
| 理由を伝えなかった人に多かった気持ち | 共感してもらえないと思ったから |
| 休んだ人の休暇日数で最も多いもの | 1日から2日で7割以上 |
この結果からわかるのは、多くの人が「休みたいけれど言い出しにくい」と感じているということです。理由を伝えなかった人が半数もいるのは、それだけペットの悲しみが理解されにくいと感じている表れかもしれません。
でも、あなたがつらい気持ちを抱くのは、決しておかしなことではありません。同じように悩み、同じように見送ってきた人が、たくさんいるのです。
休むための現実的な選択肢
忌引きが使えない場合でも、休む方法はいくつかあります。ご自身の状況や、休みたい長さに合わせて選んでみてください。
| 方法 | 特徴 |
|---|---|
| 有給休暇 | 理由を問わず取得できます。まとまった時間を取りやすい方法です |
| 時間単位の有給 | 制度がある会社なら、数時間だけ抜けることもできます |
| 半休 | 火葬や手続きのために、午前や午後だけ休む方法です |
| 在宅勤務 | 制度があれば、家で過ごしながら働くこともできます |
火葬や役所の手続きは、平日の日中に行うことが多いため、まる一日でなくても、半休や時間休で対応できる場合があります。まずは自分の会社にどんな制度があるかを、就業規則で確認してみましょう。制度を知っておくだけで、いざというときに落ち着いて動けます。
増えつつある「ペット休暇」制度
近年は、ペットを家族として大切にする人が増えたことを背景に、独自の「ペット休暇」を設ける企業も出てきています。
たとえば、あるペット保険会社では、ペットの看病などに使えるペット休暇を年に最大2日、犬や猫を見送るための忌引き休暇を年に最大3日、社員が取得できる制度を設けています。この会社では、2023年度にはおよそ4人に1人の社員がこの制度を利用したと報告されています。社員の多くがペットを飼っている職場では、こうした制度が自然に根づいているのです。
こうした制度はまだ一部の企業のものですが、少しずつ広がりを見せています。あなたの会社にも似た制度があるかもしれませんので、一度調べてみる価値はあります。制度がなくても、社会全体でこうした動きが出てきていること自体が、ペットの悲しみが認められつつある証でもあります。もし社内に制度を提案できる立場なら、こうした事例を伝えてみるのもよいかもしれません。
職場への角の立たない伝え方
休むと決めたら、次に悩むのが職場への伝え方です。無理にくわしく話す必要はありません。ご自身が話しやすい範囲で伝えれば十分です。
大切なのは、早めにひとこと連絡を入れておくことと、引き継ぎが必要な仕事を簡単に伝えておくことです。
正直に伝えたい場合
理解のある職場であれば、正直に「家族同然のペットが亡くなり、見送りのためにお休みをいただきたい」と伝えて大丈夫です。近年はペットを家族と考える人が増えているので、共感してもらえることも多くなっています。
正直に伝えることで、まわりの人も気づかいやすくなります。
くわしく言いたくない場合
もし理解されるか不安なときや、そっとしておいてほしいときは、「家庭の事情で」とだけ伝える方法もあります。うそをつく必要はありませんし、プライベートな事情を細かく説明する義務もありません。
次に、状況に合わせた伝え方の例を挙げておきます。
| 状況 | 伝え方の例 |
|---|---|
| 正直に伝える | 家族として大切にしていたペットを亡くし、見送りのためお休みをいただけますか |
| くわしく言わない | 家庭の事情があり、明日お休みをいただきたいのですが |
| 復帰したあとのひとこと | お休みをいただき、ありがとうございました。おかげで気持ちを整えられました |
休んだあと、フォローしてくれた同僚にひとことお礼を伝えておくと、その後の関係も気持ちよく保てます。あなたが誠実に対応すれば、まわりも自然とあなたの気持ちを尊重してくれます。
看病のために休みたいときの考え方
休みたいと思うのは、亡くなったときだけではありません。老いや病気で弱ってきた子のそばにいたい、通院や介護に付き添いたいという場面もあります。
こうしたときも、有給休暇や時間休を使って対応できます。仕事と看病をどう両立するかは、多くの飼い主さんが悩むところです。留守番中の見守りや、家族での分担、職場への相談のしかたについては、看病と暮らしの記事でくわしくお伝えしていますので、あわせて参考にしてください。
無理をして自分の体をこわしてしまわないよう、休むときはしっかり休むことも大切です。
休んだあとの気持ちの整理
ペットを見送ったあと、しばらくは気持ちが沈んだり、涙が止まらなかったりすることがあります。これはペットロスと呼ばれる、ごく自然な反応です。
無理に元気になろうとせず、自分のペースで少しずつ心を整えていってください。仕事に復帰しても、しばらくは集中しにくいかもしれませんが、それも自然なことです。つらい気持ちが長く続くときの向き合い方については、ペットロスの記事でお伝えしていますので、そちらものぞいてみてください。
有給休暇について正しく知っておきましょう
ペットのために休むうえで、いちばん頼りになるのが有給休暇です。有給休暇は、働く人に法律で認められた権利で、取得する理由を会社に伝える義務はありません。
「ペットのため」と言いたくなければ、理由を言わずに申請してもよいのです。会社は、原則として有給の取得を拒むことはできません。とても忙しい日に別の日へずらすようお願いされることはあっても、理由がペットだからという理由で断ることは認められていません。
当日の朝に急な申請をした場合の扱いは会社によって異なりますが、まずは早めに連絡を入れることが大切です。自分の権利を知っておくと、必要以上に引け目を感じずにすみます。
休みづらいときの工夫
まる一日休むのがむずかしいときは、いくつかの方法を組み合わせて乗りきることもできます。
午前だけ半休を取って火葬に立ち会い、午後から出社する。時間単位の有給で、役所の手続きの数時間だけ抜ける。在宅勤務の制度があれば、家でその子のそばにいながら働く。こうした工夫で、仕事への影響を抑えつつ、必要な時間を確保できます。
繁忙期などでどうしても休みにくいときは、事前に業務を前倒ししたり、同僚に引き継ぎをお願いしたりしておくと、気持ちよく休みやすくなります。ひとりで抱え込まず、頼れるところは頼りましょう。
パートやアルバイト、自営業の場合
有給休暇は、正社員だけのものではありません。パートやアルバイトの方も、働き始めて一定の期間がたち、決められた日数以上働いていれば、勤務日数に応じた有給休暇が付与されます。
自分に有給があるかどうか、一度確認してみてください。シフト制の場合は、早めに相談してシフトを調整してもらう方法もあります。自営業やフリーランスの方は、有給という仕組みはありませんが、自分で予定を空けることができます。無理に仕事を詰め込まず、お別れと気持ちの整理のための時間を、意識して確保してあげてください。
お子さんがペットを亡くしたとき、学校は休めるのでしょうか
子どもにとっても、ペットは大切な家族です。学校の忌引きは、多くの場合、人の親族を対象にしているため、ペットは含まれないことがほとんどです。とはいえ、新型コロナの感染まん延防止の騒動以降は、皆勤賞のような考え方が薄まり、体調が悪い時など、今までだったら社会通念上通りにくかったことが通りやすくなりましたし、良くも悪くも多様性の世の中なので一人一人の価値観が尊重される傾向にあります。
深く落ち込んで登校がつらいときは、無理に行かせる必要はありません。担任の先生に事情を伝え、お休みや早退の相談をしてみてください。理解のある先生であれば、子どもの気持ちに寄り添って対応してくれますし、先生としても最近は簡単に訴えられたりするような世の中なので、親御さんの言うことを受け入れずに先生の価値観を押し付けることで問題が大きくなるようなリスクを抑えるようになっています。
子どもが悲しむ姿を見るのはつらいものですが、悲しんでいい、泣いていいと伝えてあげることが、いちばんの支えになりますので、別にペットがなくなったからという理由は言わずに家事都合で休めばよいかと思います。
まわりに、ペットを亡くした人がいたら
もし同僚や友人がペットを亡くしたと知ったら、どんな言葉をかければよいか迷うかもしれません。大切なのは、悲しみを軽く扱わないことです。よかれと思って言った言葉が、相手を傷つけてしまうこともあります。
次の目安を、そっと心にとめておいてください。
| かけたい言葉 | 避けたい言葉 |
|---|---|
| つらかったですね、無理しないでください | たかがペットでしょう |
| いい子だったんですね | また飼えばいいよ |
| 話したくなったら聞きますよ | いつまで落ち込んでいるの |
気のきいた言葉をかけようとしなくて大丈夫です。ただそばにいて、話を聞く姿勢を見せるだけで、相手の心はずいぶん軽くなります。
休むと決めたら、当日までにしておきたいこと
休む決心がついたら、まわりに迷惑がかからないよう、少しだけ準備をしておくと安心です。
まず、上司や担当者へできるだけ早めに連絡を入れます。次に、その日に対応が必要な仕事があれば、簡単な引き継ぎのメモを残したり、同僚にお願いしたりしておきます。
火葬や役所の手続きに行く場合は、日時の予約も忘れずに取っておきましょう。連絡が取れる手段を伝えておけば、急ぎの用件にも対応できます。こうしたひと手間をかけておくと、休んでいるあいだ、仕事のことを気にせずお別れに集中できます。準備といっても、無理のない範囲で構いません。
よくある質問
何日くらい休めますか
決まった日数はありません。有給休暇の範囲であれば、必要な日数を取ることができます。
調査では1日から2日で復帰する方が多いですが、気持ちの整理に時間がかかる場合は、無理に急いで戻る必要はありません。自分の心と相談して決めてください。
診断書のような証明は必要ですか
有給休暇を使う場合は、理由を証明する書類は必要ありません。
会社にペット休暇や忌引き休暇の制度がある場合は、その規定にしたがって申請します。制度によっては、簡単な申告で取得できることがほとんどです。
忌引きのない会社に、制度を作ってもらえますか
すぐに実現するのはむずかしいかもしれませんが、要望として伝えてみる価値はあります。
ほかの企業がペット休暇を導入している事例を添えて、総務や人事に相談してみるとよいでしょう。同じ思いを持つ社員の声が集まれば、制度づくりのきっかけになることもあります。
まとめ
ペットが亡くなったとき、会社を休みたいと思うのは自然な気持ちです。忌引きの対象になっていないことは多いですが、有給休暇を使えば理由を問わず休むことができます。
調査でも、多くの人が同じように悩みながら休んでいることがわかっています。伝え方は、正直に話しても、家庭の事情とだけ伝えても、どちらでもかまいません。大切な家族を見送る時間を持つことは、あなたにとっても、その子にとっても、意味のある大切な時間です。
どうか、自分を責めずにお休みを取ってください。働きながらペットを見送るのは、心も体も負担のかかることです。しっかり休んで気持ちを整えることは、その後もう一度前を向いて働くためにも、必要な時間になります。あなたの悲しみは、休むにあたいする、大切なものです。
まわりの理解が得られないと感じるときも、あなたの気持ちが間違っているわけでは決してありません。自分の心を守ることを、いちばんに考えてあげてください。あなたがその子のためにできる最後のことのひとつが、しっかりお別れをすることなのですから。


